使い捨ての時代に、あえて「100年」という時間軸で家具を選ぶ。それは単なる買い物ではなく、未来への投資であり、次世代への贈り物でもあります。
特に人生の3分の1を過ごすベッドだからこそ、本物の価値を持つものを選びたい。
本コラムでは、100年後も愛される木製ベッドの条件と、無垢材だからこそ実現できる上質な眠りについて、マスターウォールの哲学とともにご紹介します。
現代社会では、多くの家具が5年、10年で買い替えられています。しかし、かつて日本には、祖父母から受け継いだ箪笥や、代々使われてきた座卓など、世代を超えて愛用される家具文化がありました。マスターウォールが掲げる「100年後のアンティーク家具へ」というコンセプトは、この失われつつある価値観を現代に蘇らせる試みです。
100年使える家具とは、単に頑丈なだけではありません。時代が変わっても色褪せないデザイン、使うほどに味わいが増す素材、そして修理しながら使い続けられる構造。これらすべてが揃って初めて、世代を超えて愛される家具となるのです。
特にベッドは、毎日8時間、年間で約3,000時間も使用する、最も身近な家具です。だからこそ、一時的な流行や価格だけで選ぶのではなく、長期的な視点で本当に価値のあるものを選ぶことが重要です。そして、その答えが「無垢材の木製ベッド」にあると、私たちは考えています。
100年という長い時間を考えたとき、なぜ無垢材でなければならないのでしょうか。それは、無垢材だけが持つ特別な性質にあります。

無垢材とは、天然木をそのまま製材した木材です。合板や集成材とは異なり、木が持つ本来の性質をすべて保持しています。
最も重要なのは、無垢材が「生きている素材」だということです。切り出されて家具になってからも、木は呼吸を続け、周囲の環境と相互作用しながら、ゆっくりと変化していきます。この変化こそが、100年後のアンティーク家具への道のりなのです。


プラスチックや金属は、時間とともに劣化していきます。しかし無垢材は違います。適切に扱われた無垢材は、時間の経過とともにより美しく、より価値のあるものへと成長していきます。
例えば、ウォールナット材は最初は紫がかった濃いブラウンですが、10年、20年と経つうちに、深みのある琥珀色へと変化します。この変化は均一ではなく、使い方や環境によって異なるため、世界に一つだけの表情を持つようになります。
チェリー材の変化はさらにドラマチックです。淡いピンク色から始まり、年月とともに美しい飴色へ。まるで、家具が家族とともに成長しているかのようです。

無垢材の大きな利点は、修復が可能だということです。小さな傷は研磨で消すことができ、深い傷も専門的な技術で修復できます。部分的な交換も可能で、100年の間に必要なメンテナンスを施しながら使い続けることができます。
これに対して、突板(薄い木材を貼り付けたもの)やプリント化粧板は、一度傷がつくと修復が困難です。表面の薄い層が剥がれてしまえば、その下の合板が露出し、見た目も機能も大きく損なわれます。

無垢材の木製ベッドは、単に長持ちするだけでなく、毎日の睡眠の質を高める特別な機能を持っています。これらは、工業製品では決して実現できない、天然素材ならではの恩恵です。

無垢材の最も優れた特性の一つが、自然な調湿効果です。木材は周囲の湿度に応じて水分を吸収・放出し、室内の湿度を40〜60%(特に50%前後)という人間にとって最も快適な範囲に保ちます。
この調湿効果は、健康面でも大きなメリットをもたらします。湿度60%以下に保たれることで、カビの発生が抑制され、ダニの繁殖も防げます。アレルギーやアトピー性皮膚炎でお悩みの方にとって、無垢材のベッドは理想的な選択といえるでしょう。

無垢材から放たれる天然の香りには、心身をリラックスさせる効果があります。特に、ヒノキやスギなどの針葉樹に含まれるフィトンチッドという成分は、ストレスホルモンを減少させ、副交感神経を優位にすることが研究で示されています。
この香りは、人工的な芳香剤とは異なり、強すぎることがなく、時間とともに穏やかになっていきます。就寝時に微かに感じる木の香りは、まるで森の中で眠っているような安心感をもたらし、深い眠りへと導いてくれます。
無垢材は適度な水分を含んでいるため、静電気が発生しにくいという特徴があります。これにより、ホコリが付着しにくく、ベッド周りを清潔に保ちやすくなります。
また、無垢材には天然の抗菌作用もあります。特にヒノキやヒバなどは、その抗菌効果で古くから浴槽や寿司カウンターに使われてきました。この自然な抗菌作用により、雑菌の繁殖を抑え、衛生的な睡眠環境を維持できます。

では、具体的にどのような基準で木製ベッドを選べば、100年後も愛用できるのでしょうか。ここでは、樹種選び、構造、デザインの3つの観点から、選び方のポイントをご紹介します。
100年という長期使用を考えたとき、選ぶべき樹種は限られてきます。重要なのは、硬さ、耐久性、そして経年変化の美しさです。

100年使えるベッドには、それにふさわしい構造が必要です。

100年後も愛されるためには、流行に左右されないデザインが不可欠です。

100年使い続けるためには、適切なメンテナンスが欠かせません。しかし、それは決して難しいことではありません。むしろ、手入れをすることで愛着が深まり、家具との絆が強まっていくのです。

基本は週に1〜2回の乾拭きです。柔らかい布で、木目に沿って優しく拭くだけで、ホコリを除去し、木の呼吸を妨げません。

オイル塗装の無垢材ベッドは、年に1〜2回のオイルメンテナンスが必要です。専用のメンテナンスオイルを薄く塗り、木に栄養を与えます。

長年使用したベッドは、定期的にプロによるメンテナンスを受けることをおすすめします。全体的な点検、必要に応じた部品交換、本格的なオイルメンテナンスなど、専門家の手により、ベッドは新品同様に蘇ります。

マスターウォールの「100年後のアンティーク家具へ」というコンセプトは、単なるキャッチフレーズではありません。それは、私たちの家具づくりの哲学であり、お客様への約束でもあります。

マスターウォールが特にこだわるのが、北米産ブラックウォールナットです。この木材は「世界三大銘木」と呼ばれ、その美しさと耐久性は世界中の家具職人から認められています。
私たちは、その中でも特に品質の高い材のみを厳選し、最適な乾燥方法で仕上げています。十分に乾燥させることで、日本の気候でも狂いが少なく、100年使える品質を実現しています。

100年使える家具を作るには、伝統的な木工技術が不可欠です。木組みや仕口といった日本の伝統技術は、金物に頼らない強固な接合を可能にします。
一方で、現代の技術も積極的に取り入れています。CADによる精密な設計、NC加工機による高精度な加工。これらにより、伝統技術だけでは難しかった精度と効率を実現しています。
しかし、最後の仕上げは必ず職人の手で行います。機械では感じ取れない木の個性を読み取り、一つひとつ丁寧に仕上げていく。この手仕事こそが、100年使える品質の要なのです。

100年後も愛される家具を作ることは、環境への責任でもあります。使い捨てではなく、修理しながら使い続ける。これこそが、真のサステナビリティだと私たちは考えています。
また、使用する木材は、すべて適切に管理された森林から調達しています。森林の持続可能な利用に貢献しながら、次世代に美しい地球を残していく。それも、100年企業を目指す私たちの使命です。

100年後も愛される木製ベッドを選ぶということは、単に良い家具を買うということではありません。それは、未来の家族への贈り物であり、持続可能な社会への貢献でもあります。
マスターウォールは、そんなあなたの想いを形にするお手伝いをいたします。ショールームでは、実際に無垢材の質感を確かめ、100年使える品質を体感していただけます。
100年後、あなたのベッドが美しいアンティーク家具として、お孫さんやひ孫さんに受け継がれている。そんな未来を想像しながら、今日から始まる豊かな眠りの時間をお楽しみください。
