黒川 元気/クロカワ ゲンキ
2006年入社
2006年入社。未経験から製造部へ配属。技術を磨き現在は副部長として工程管理や後輩育成、試作会議に奔走。自宅の自社製テーブルに季節の花を飾るのが日課。
私は入社以来、お客様に「豊かさ」を届ける仕事だと思って家具を作ってきました。若い頃は「高級なものを持つステータス」こそが豊かさだと思っていたのです。それが、自分自身がマスターウォールのテーブルを自宅で使うようになって、本当の意味に気づきました。このテーブルが家にあると、「ここに花を置いてみよう」「このテーブルに合う少し良い食器を置いてみたい」と思ったりする。さらに「楽しい食事にしたいから、新しい料理を覚えてみようか」「ここで良い音楽を流してみようか」と、テーブルが1つあるだけで、今まで興味を持たなかったものへどんどん視界が広がっていくのです。
現に私は、この家具を使うようになってから花が好きになり、月に数回は花屋へ行って季節の花を買うようになりました。家具を買う前の人生だったら絶対にあり得なかったことです。でも、花を飾ることで家族も喜ぶし、自分の気持ちもすごく満たされる。「豊かさ」とは単に高級な家具を所有することではなく、それをきっかけに自分の視野が広がり、日常の色々なことに興味を持てるようになることそのものなんだと感じています。
普段はお客様と直接関わる機会はありませんが、あるメンテナンスのご依頼が、私の職人としての意識をガラリと変えてくれました。長く使ってくださっているテーブルの傷を綺麗にするため、1人で天板をひっくり返してみた時のことです。
お客様からは「表面だけでいい」と言われていたのですが、裏面を見ると、そこにはたくさんの文字が書かれていました。少し読んでみると、そのご家族がテーブルを購入された時には小さかったお子さんの名前や、「何歳の時にこの家具を買った」という記録が、年数ごとにずっと書き連ねられていたんです。最後の方には、成人されたそのお子さんへ向けたご両親からの「正しいことができる優しい人になってください」という言葉や、妹さんからの「たまには帰ってきてね」というメッセージが添えられていました。 目頭が熱くなりました。私たちが日々向き合っている家具は単なるモノではなく、お客様の大切な時間を一緒に過ごし、家族の歴史を刻み込んでいく器なのだと身に染みて理解しました。「新品以上のクオリティで返したい」と魂を込めて磨き上げたあの瞬間は一生の思い出であり、届ける先にある「家族の命」に触れたことで、職人として大きく成長できた瞬間でした。
私は全く製造とは合致しない分野を学んできました。物作り自体が初めてで完全に未経験からのスタートだったので、入りたての頃は驚きの連続でした。20年前の入社当時から「すごくチャレンジさせてくれる会社だな」と感じていました。最初は小さな雑務からコツコツ学ぶのだろうと思っていたら、いきなりメインの重要な作業を「じゃあ、これやってみようか」と言われまして。こんなに高い家具をいきなり未経験の自分に、と本当に震えました。「何かあったらどうしよう」とおじけづいてしまったのです。
そのとき、当時の先輩が「見ているだけじゃ分からない。失敗したとしても何回でもチャレンジすればいい。いくらでもサポートするから。失敗した経験があるからこそ、次はどこに気をつければいいかが身に染みて分かるんだよ。心配しなくていいからチャレンジしなさい」と言ってくれたのです。本当に頼もしかったですね。この言葉をいただいて、どんどんいろんな作業を教えてもらい今があります。そして今、全く同じ言葉を、私は周りにいる後輩や部下の子たちに伝えています。
簡単に手に入らない素晴らしい木材をずっと使い続けていることや、技術面での絶対的な自信があり、「私たちのテーブルは世界一だ」という誇りを持って作っています。ただ、何が一番違うかと聞かれたら、やっぱり「人」じゃないかと思います。
他社には出せないサービスや、他では味わえないワクワクを作っていこうという姿勢。自分たちがワクワクするような、家具屋の枠組みから外れた面白い挑戦をどんどんしていく社風があります。私はもともと人が好きで深く関わりたいタイプだったので、失敗して落ち込んでいるときに先輩や後輩が「ご飯行きましょう」と誘ってくれたり、仕事以外の時間でも一緒に遊びに行ったりできる環境が本当に嬉しかった。社会人としてのルールは厳格に守りつつも、どこかみんなでワイワイと「学生のような熱い気持ち」のまま接することができる空気感があるのです。そして何より社長がいつも一般社員を気にかけてフランクに声をかけてくださる。その温かさに触れて「この会社にずっといたい」と心から思いました。この素晴らしい社風を、これからもずっと後輩たちへ継承していきたいです。