働き方が多様化し、オフィスは「毎日通う場所」から「人が集まりたくなる場所」へと役割を変えつつあります。
マスターウォールでは、ウォールナット無垢材の家具を中心に構成したオフィス空間を、CGによる仮想空間として制作しました。エントランスから執務エリア、会議室、ラウンジ、役員室まで。住まいの家具づくりで培ってきた心地よさを、働く場所へどう広げられるか。その提案をゾーンごとにご紹介します。
あわせて、オフィスに木を取り入れることの効果について、近年の研究結果もご紹介します。
リモートワークが定着した今、オフィスには「わざわざ足を運ぶ理由」が求められています。仲間と顔を合わせて話せること、集中できること、ほっとひと息つけること。そうした体験の質が、働く人の満足度を左右するようになりました。
さらにオフィスは、採用候補者や取引先が企業の姿勢を感じ取る場所でもあります。どんな空間で働いているかは、そのまま企業のメッセージとして伝わります。人材の確保や定着、ブランディングの観点からも、上質な空間づくりへの関心が高まっています。
私たちは「やっぱり家がいいなぁ」と思える場所をつくり続けることを、ミッションとして掲げてきました。家に帰りたくなるのと同じように、行きたくなるオフィスもつくれるはず。今回のプロジェクトは、そんな発想から始まりました。
手に触れる天板、背中を預ける椅子、書類を収める収納。毎日使う家具をウォールナット無垢材でそろえることで、オフィス全体に落ち着きと温かみをもたらします。

フロアは、役割の異なる6つのゾーンで構成しています。集中するエリアと人が集まるエリアをゆるやかにつなぎ、一日の中で働き方を切り替えられるレイアウトです。

来訪者が最初に目にする場所だからこそ、素材の質感で企業の姿勢を伝えたい。ウォールナットウッドタイルを施したウォールパネルにロゴサインを掲げ、正面に印象的な一枚の壁をつくりました。
ゆるやかな弧を描くモジュールソファ(コンポジット システムソファ)を、組み合わせ次第で人数や動線に合わせてレイアウトを変えられます。中央にはヘヴン リビングテーブルを置き、待ち時間もくつろげる場所にしています。


執務エリアには、配線収納付きのオーガナイザーを組み合わせたノートシステムデスクを配置。黒のスチールフレームと無垢材の組み合わせが、引き締まった印象をつくります。
壁面にはクリークストレージユニットを並べ、書類や備品を扉の内側へ。見せる収納と隠す収納を使い分けることで、執務空間をすっきりと保ちます。ガラス越しにラウンジの気配が感じられるのも、このレイアウトの特長です。

ヘリンボーンの床を敷いた個室には、ウォールナット天板の昇降デスク(モヴ)を配置しました。座っても立っても使えるため、短時間の集中作業や立ったままの打ち合わせにも対応します。椅子の代わりに置いたキューブ型のスツール(ポーチスツール)は、軽く移動できるのも利点です。


執務エリアとラウンジのあいだには、トラック ミーティングテーブルを配置しフリーアドレス席を設けました。部署を越えて隣り合い、ちょっとした相談がその場で始まる。そんな偶然の会話が生まれる場所です。
合わせたのは、ブループリントのエリナとシエイニーのキャスターチェア。キャスター付きなので、席を立つのも向きを変えるのもスムーズです。


8名用の会議室には、440cmのトラックミーティングテーブルを。間接照明を仕込んだ天井と濃色の壁が、重要な打ち合わせにふさわしい落ち着いた雰囲気をつくります。ガラスの間仕切りで執務エリアとつながり、閉じすぎない開放感も保っています。

少人数の打ち合わせやオンライン会議には、4名用のミーティングルームを。同じシリーズのテーブルを用いることで、部屋ごとのトーンをそろえています。


フロアの一角には、テラゾーの床とレンガタイルの壁で雰囲気を切り替えたラウンジを設けました。窓に沿って続くチル ソファ、ラウンドラグの上に置いたデニッシュフリーソファ。ひと息つくのも、ノートPCを広げるのも自由な、オフィスの「リビング」です。


ラウンジの中央には、ウォールナットの卓球台(YU UA1)を置きました。ミーティングテーブルとしても使えます。背面にはガラス扉の特注キャビネットを並べたライブラリーを。書籍やカタログを手に取りながら、アイデアを広げる時間をつくります。


窓際には、ガラスキャビネットを組み込んだロングカウンター(ノート)とブループリント シエイニーカウンターチェアを。景色を眺めながら一人で作業したいときにぴったりです。壁際には背中合わせのチルソファと同シリーズのハーフオーバルテーブルを組み合わせたブース席を設け、2〜4名の打ち合わせにも使えるようにしました。奥にはDJブースも置き、音楽のある時間を演出しています。


社長室には、ガラスキャビネットを組み込んだL字型のワイルドウッド エグゼクティブデスクを据えました。壁面にはガラス扉と引出しを組み合わせたディーバ ウォールキャビネットを並べ、書類だけでなく、大切な品を飾る場所としても使えます。
デスクの手前には、ソファを配置。来客との少人数の面談にも対応します。濃色のラグを敷くことで、執務スペースと応接スペースをひとつの部屋の中で自然に分けています。

木の空間が心地よいことは、経験的に知られてきました。近年は、その効果を生理的な指標や実際のオフィスで検証する研究も進んでいます。ここでは、主な研究を3つご紹介します。
千葉大学などの研究チームは、目を閉じた被験者に、さまざまな素材の上へ手のひらを90秒間置いてもらう実験を行いました。その結果、木材に触れたときは、大理石・タイル・ステンレスに触れたときと比べて、脳の前頭前野の活動が鎮まり、リラックス時に高まる副交感神経の活動が上昇しました(※1)。
同じチームが無塗装の無垢材と各種の塗装材を比べた実験では、無垢材に触れたときに前頭前野の活動低下、副交感神経活動の上昇、心拍数の低下が見られ、塗装材よりもリラックス効果が高いという結果が出ています(※2)。デスクの天板やチェアのアームなど、オフィスで日々手が触れる場所にこそ、木の素材感が活きると言えそうです。
オーストラリア・メルボルンでは、コンクリート主体のオフィスから、木材を多く見せた木造オフィスへ移転した従業員を対象に、移転前後を比べる調査が行われました。建物の影響で生産性が上がったと答えた人は43%から75%へ、建物内で健康に感じると答えた人は52%から70%へ増加しています。木造フロアでは湿度の変動が小さく、木材の調湿作用がうかがえる結果も得られました(※3)。
オーストラリアで屋内勤務者1,000人を対象に行われた調査では、自然な木の表面がある職場で働く人ほど、ウェルビーイングや仕事への満足度が高い傾向が見られました。気分や集中力、生産性についても、より高く自己評価していたと報告されています(※4)。
ゾーンごとに床や壁の素材を変えても、家具をウォールナットでそろえることで、フロア全体に一貫したトーンが生まれます。
無垢材は、年月とともに色味が落ち着き、味わいを増していきます。オイル仕上げの家具であれば、キズやシミがついても研磨とオイルの塗り直しで木肌を整えられるのも特長です。23年使われたテーブルのメンテナンス事例は、 こちらのコラム でご紹介しています。
受注生産のため、サイズや仕様について空間に合わせたご相談が可能です。対応内容は商品により異なりますので、お気軽にお問い合わせください。
毎日手に触れる家具の質は、働く人の気持ちに、そして来訪者が受け取る印象に、静かに影響を与えます。
今回ご紹介したのは、CGで描いたひとつの提案です。ただ、そこに置かれた家具の多くは、実際にお届けできるマスターウォールのプロダクトです。
オフィスの新設や移転、リニューアルをご検討の際は、ぜひご相談ください。働く人が「行きたくなる」場所づくりを、ウォールナットの家具でお手伝いします。
※1 Ikei H, Song C, Miyazaki Y. Physiological Effects of Touching Wood. Int. J. Environ. Res. Public Health 14(7), 801 (2017).
※2 Ikei H, Song C, Miyazaki Y. Physiological Effects of Touching Wood. Int. J. Environ. Res. Public Health 14(7), 773 (2017).
解説:
池井晴美・宮崎良文「木と人の関係 第4回 木に手で触ると」(千葉大学)
※3 Understanding the effects of timber rich workplaces on occupants perceived productivity and health: a pilot study. Scientific Reports 15, 39480 (2025).
解説:
住友林業 筑波研究所「【木の効果】研究成果ライブラリー」
※4 Knox A, Parry-Husbands H (Pollinate). Workplaces: Wellness + Wood = Productivity. Forest & Wood Products Australia (2018).
Forest & Wood Products Australia(レポート掲載ページ)
執筆・編集:マスターウォール編集部
公開日:[2026/10/13]